課題タグの意味がわかる|壁の傾斜・ホールド・ムーブ
「強傾斜」「カチ」「ヒールフック」——ジムやアプリで見かける課題タグを、壁の傾斜・ホールド・ムーブの3つに分けてやさしく解説。初回は覚えなくていい、けど読めると壁選びがラクになる。
ジムの張り紙や記録アプリで、課題に「強傾斜」「カチ」「ランジ」みたいな短い言葉が付いているのを見たことがあるかもしれない。あれが課題タグ。その課題が「どんな壁で、何をつかんで、どう動くか」を一言で表した目印だ。
初回に覚える必要はまったくない。ただ、意味がわかると「今日は自分に合いそうな壁はどこか」が見えてくるので、ざっと眺めておくと少し得をする。
タグは大きく3種類に分かれる。
- 壁の傾斜 — どんな壁か
- ホールド — 何をつかむか
- ムーブ — どう動くか
1. 壁の傾斜(どんな壁か)
ジムの中を見渡すと、まっすぐな壁、手前に張り出した壁、逆に奥に寝ている壁がある。この角度の違いが、登りやすさをいちばん大きく左右する。
- スラブ — 手前に寝ている壁。腕の力はほとんど要らないかわり、足の置き方と体重移動がすべて。じわっと立ち込む繊細な登り
- 垂壁(すいへき) — 地面に対してまっすぐ垂直な壁。はしごに近い感覚で、初めての人がいちばん登りやすい
- 緩傾斜(かんけいしゃ) — ゆるく手前にかぶった壁。腕にじわじわ効いてくる。
- 強傾斜(きょうけいしゃ) — はっきり手前にかぶった壁。ぶら下がる時間が長く、腕と体幹をかなり使う
- ルーフ — 天井のように水平に張り出した壁。見た目どおりパワーが必要
2. ホールド(何をつかむか)
壁に付いている石=ホールドは、形によってつかみ方が変わる。タグは「その課題はどのつかみ方が中心か」を示している。
- ガバ(ジャグ) — 指がしっかりかかる大きなホールド。がっちり持てて安心感があり、やさしい課題はほぼガバでできている
- カチ(クリンプ) — 指先しかかからない、薄いホールド。指に効くので初心者は無理をしないほうがいい
- ピンチ — 親指と他の指ではさんでつまむ形。握力というより「はさむ力」
- スローパー — 引っかかりのない、まるくてつるっとした形。手のひら全体を押しつけて摩擦で保持する
- ポケット — 穴に指を何本か入れて持つ形。指1〜2本のものは負担が大きい
- サイド — 横向きに持つホールド。体を振られないように引きつけて使う
- アンダー — 下向きについていて、手のひらを上にして下から持つ形
- デュアル(デュアルテクスチャーホールド) — 1つのホールドの中で、ざらざらして持てる面と、つるつるで持てない面が塗り分けられているもの。「ここを持ってね」がホールド自体に描かれていると思えばいい
- ノンテクスチャホールド — 表面全体がつるつるで、ざらつきのないホールド。摩擦が効かないぶん、持ち方と体勢で耐える課題になる
初回にいちばんよく触るのはガバ。持ちやすいホールドが並んだ課題から始めれば、最初の1本は登れる。
3. ムーブ(どう動くか)
体の動かし方の名前。ここがいちばん専門用語っぽく見えるけれど、要は「この課題は何をさせられるか」の予告だ。
- ダイアゴナル — 右手と左足のように対角の手足で体を支える基本の姿勢。体が壁に近づいて腕がラクになる
- ガストン — 体の内側に向かって押し開くように力をかける動き。地下鉄のドアをこじ開ける感じ
- ランジ(ダイノ) — 次のホールドへ飛びつく動き。両手が離れる瞬間がある
- デッドポイント — 反動で体を送り、勢いが消えて一瞬体が止まる頂点で次のホールドを取る動き。ランジほど大きくは飛ばない
- コーディネーション — 何手かを勢いのまま連続でつなぐ、アスレチックのような動き
- サイファー — 片足を振り子のように蹴り出し、その勢いで体を持ち上げて次を取る動き
- ヒールフック — かかとをホールドに引っかけて、足で引く
- トゥーフック — つま先の甲側を引っかけて体を壁に留める
- キョン(ドロップニー) — 膝を内側に落として足で突っ張り、体を壁に寄せる。傾斜で腕を休めながら手を伸ばせる
- ニーバー — 膝と足でホールドを挟んで体を固定する。うまく決まれば両手を離して休める
- フィギュア4 — 保持している腕に自分の脚をかけ、体をねじり上げて高い一手を取る。ルーフや強傾斜で使う上級技
- スメアリング — ホールドのない壁面に、靴底の摩擦だけで足を置く
- ジャミング — 割れ目(クラック)に手や足をねじ込み、効かせて体を支える。外岩や、まれにジムのクラック壁で使う
- キャンパ — 足を使わず腕だけで進む。上級者向け
初回に出会うのはほぼスメアリングまで。飛びつく系(ランジ・デッドポイント・コーディネーション)は落ち方に慣れてからで遅くない。
タグは「登れる課題を選ぶための道具」であって、テストに出る用語じゃない。何回か通ううちに、「今日はスラブが楽しかった」「強傾斜は全然歯が立たなかった」と、自分の言葉として自然に馴染んでくる。そうなってから読み返すと、このページはもっと面白く読めるはずだ。